【Vol.07】 日清紡マイクロデバイスAT株式会社 様 | 生産性向上を図るための具体的な事例とともに、PATLITEの簡易IoTソリューション、ワイヤレスデータ収集システム、AirGRID®の利便性と効果を実感してください。
我々は日清紡ホールディングスのエレクトロニクス事業を担う新日本無線グループの一員として半導体製造(後工程)に携わっています。当社は経営理念が示すように、日々の研鑽により社員一人ひとりが一隅を照らし、そしてその者たちが力を合わせて遍く社会を照らす企業を目指してします。
製品ラインアップとして、小型・薄型のタイプを中心に、お客様の用途に応じた形状のパッケージを各種取り揃えております。また、長年の半導体組立てで培った技術と経験の蓄積により、更なる品質向上と高付加価値製品の創出に取り組んでいます。
を掲げ2016年からダントツ工場の基盤づくりに着手。
「事後保全」「予防保全」 「予兆保全」と設備維持強化に3年間活動しましたが生産性はうまく上がりませんでした。
そのような状況の中、2018年の方針説明で社長から一言
この言葉から「チームALL GREEN」を立ち上げました。
「不良ゼロ活動宣言 止まらない設備への挑戦」を掲げノベルティを大手自動車メーカーに配りコミットメントしました。
こうした活動の中、2019年はこれまでの製造現場中心の取り組みに設計開発部門を追加し新プロジェクトを発足しました。設計と製造部門が一体となり「私たち も自動車を作っている」この覚悟をもって不良ゼロ活動に取り組んでいます。
当初は有線ケーブルのシステムで稼動データを収集しましたが、後工程は段取りが多く、一部の工程では毎日設備の移動をともなう段取りもあり、その度に配線と設定を変更する作業が発生していたため有線システムでの拡大は断念しました。先述の2016年からの活動でシステムの本格検討を行い、5社について性能、価格、導入と保守のし易さ、サポート面など比較した結果、長崎にあるシステック井上社のシステムを選定しカスタマイズしました。地元企業でシステムの納入実績もあったことなどサポート面での安心感は大きかったと思います。ハードは当時ベンチャー企業もIoT市場に多く参入してきた中、撤退の心配もなく、システック井上社のシステムとも連携されていたパトライト社のAirGRIDを採用しました。
これからのIoTや自働化に向け、設備の信号灯情報をもとにリアルタイムで稼働状態を見える化し、稼働ロスの徹底排除、止まらない設備を目指し生産性の向上、更には、不良ゼロによる品質向上が目的です 。
システム構成はAirGRIDの稼働データをSQLサーバーに蓄積し、データはブラウザで社内イントラに接続されたPC、iPadなどで閲覧できます。工場や事務所には大型モニタで表示しています。当然、社長や役員も毎日チェックされています(笑)。画面はフロア毎の設定で、設備台数、その中の稼動台数、設備毎の稼働率、稼働履歴には現場でコメントも登録できます。更にフロアー毎のワースト設備の一覧も表示されます。見える化の対象設備は当初77台でスタートしましたが現在に120台に展開しています。
設備の稼働状態は5段階で識別としました。工夫したポイントは設備稼働の赤・黄・緑以外に青色を追加し生産計画(稼働計画)に合わせ運用していることです。
例えば生産計画がある設備では、オペレータが手動でスイッチをONにして青ランプを点灯させ、生産計画が終了するとOFFにします。そうすることで稼働率だけでなく可働率も管理できるようになりました。
ESTVを設置する前の設備総合効率は70%程度を予測していましたが、設置後の実態は50%程度の設備もあり、あきらかに稼働率が悪いという事実に直面しました。しかし、改善活動では稼働率の悪さ加減を見える化するだけに終わらず、見えたものをどうフィードバックするかが重要であり、監視業務から管理業務への転換を図りました。
又、製造部門ではFRM活動(ファースト・レスポンス・マネジメント)として朝礼及び引き継ぎ時に稼働実績を検証していますが、従来は稼働率低下の要因分析に時間を要し初動が遅くなっていましたが、現在は情報の共有化も進み、各担当部門で見る気付く分析行動ができる環境に変わりました。更に経営層や技術スタッフもリアルタイムに閲覧できるため、生産状況を始め、問題点の共有や改善の優先度もスムーズに調整することができます。
重点管理工程を2つに絞りました。まず、ワイヤボンド工程でチョコ停が発生すると、品質に大きな影響を与えるため徹底的にチョコ停改善を実施した結果、僅か1年で目標のOEE90%を達成し91%にまで向上できました。結果チョコ停はほぼなくなり、今では計画どうり生産することができています。また、テスト工程ではとにかく様々な要因で設備停止していましたが、稼動ロスを徹底的に排除する活動を実施した結果、こちらも1年でOEE50%から74%に改善出来、更なる向上を進めています
見える化できた設備総合効率の更なる分析を進めるため、生産計画との自動連係、また、設備のログ情報を紐づけし性能ロスや停止ロスの詳細の見える化を展開し、設計開発、製造、設備管理、品質管理、全社で不良を作らない、止まらない設備やラインの実現を目指し取り組んでいきたいと考えています。